民主主義には脅威もあるとオバマ大統領最後の演説2

 民主主義には脅威もあるとオバマ大統領最後の演説2




1からの続きです



(3) 心地よいバブルという脅威

社会の分断に揺れるアメリカ。こうしてオバマ大統領は、お互いの立場を理解する努力を強調せざるを得なかった。

「これは容易いことではない。多くの人たちにとって、バブルに閉じこもる方が安心だろう。自らの地域、大学のキャンパス、信仰の場所、特にソーシャルメディアのフィード。そこでは似たような人たちに囲まれ、政治観念を共有し、考えを決して脅やかされない」

「バブルがますます居心地のいいものになり、自らの意見に合う情報だけを受け入れるようになる。それが事実であろうと、なかろうと」

大統領選で、問題が顕在化したフィルターバブル。「ポスト事実」が流行語となったように、有権者は事実かどうかではなく、耳障りのよい情報だけを盲信した。それは社会の分断と、政治の二極化にもつながった。

「これは民主主義への三つ目の脅威だ」。こうした流れにオバマ氏は警鐘を鳴らした。

理性を

「政治とは思想を戦わせることだ。民主主義はそう設計された。健全な議論を通じて、異なる目標や、それを達成する手段に、優先順位をつける。だが、事実に関する共通のベースラインなくして、話が噛み合うことはない。新しい情報を受け入れ、敵対する人たちの言い分も正しいかもしれないとか、科学や理性が重要だとか考えることなくして、話が噛み合うことはない」

ここで例に挙げたのが、地球温暖化だった。

温暖化はすでにその真偽を議論する段階ではなく、効果的な対策を打ち出さねば、「将来世代に禍根を残すだけでなく、建国から続くイノベーションと現実的な問題解決という根幹の精神を裏切ることになる」

アメリカの精神。それは「啓蒙の精神に端を発し、アメリカを世界の経済大国に押し上げた」。

「理性や進取の気性を信じ、権力より権利を尊重し、世界大恐慌時もファシズムや独裁制の誘いに乗らなかった。他の民主国家とともに、第二次世界大戦後の秩序を形成した」。それは「原理、法の支配、人権、宗教・言論・結社の自由、そして独立した報道機関の上に成り立つ秩序だ」。

秩序への挑戦

「こうした秩序はいま、挑戦されている。まずイスラムを名乗る暴力的な狂信者たちによって。より最近では、開かれた民主主義と市民社会における自由市場は、自らの権力への脅威とみなす独裁的な支配者たちによって」

過激思想や専制国家の広まりは、アメリカの存在価値への挑戦。オバマ氏の描いた世界の構図だ。アメリカはどう立ち向かうのか。

「民主主義は、恐怖に負けたときに、崩れる。だからこそ、われわれは市民として、外部からの攻撃を警戒するように、われわれをわれわれ足らしめている価値観が弱ることにも警戒しなければならない」

「もし世界で、自由の範囲や法の支配の尊重が制限されるようなことがあれば、国内でも国家間でも争いの可能性が高まり、われわれ自身の自由もやがて脅かされるだろう」

「だからこそ、警戒しよう。だが恐れてはならない。イスラム国は無実の人々を殺そうとするだろうが、アメリカを倒すことはできない。われわれが憲法や、戦いにおける原理を捨てることがなければ」

「ロシアや中国のようなライバルが、世界におけるわれわれのような影響力を得ることはない。われわれが拠って立つところを捨てなければ」

(4) 惰性という脅威 民主主義の不断の努力

「民主主義は、当たり前のものだと思ったときに、脅かされる。党派に関係なく、われわれはみな、民主的な制度を立て直す仕事に邁進するべきだ」

オバマ氏が最後のポイントとして挙げたのは、不断の努力なしに民主主義は成り立たないという根本だった。

「すべては、われわれが参加するかにかかっている。市民としての責務を受け入れるかに」

「憲法はとても素晴らしいギフトだが、紙切れにすぎない。それだけでは何の力もない。われわれ人民が、力を持たせるのだ。われわれ人民が、意味を与えるのだ。参加することによって。選択することによって。協力関係を築くことによって」

「自由のために立ち上がるのか。法の支配を尊重し、実行するのか。われわれ次第だ。アメリカは強固だが、自由を求める長い旅から得られた果実は保証されてはいない」

そして政治を冷笑せず、変化を起こすには自ら行動を起こすように説いた。

「民主主義はあなたたちを必要とする。選挙のときだけじゃない。自らの限られた利益が問題になっているときだけじゃない。生涯を通じてだ。ネットで見知らぬ人と議論することに飽きたなら、現実の世界で人と話して」

「直さなければならないことがあれば、靴紐を締め、組織を立ち上げて。政治家に失望したなら、クリップボードを手に取り、署名を集め、自ら立候補して」

「参加して。身を投じて。注意深くいて」

感謝と涙

演説も終盤。大統領は不意に涙を見せる。職務を支えた家族や仲間への感謝の気持ちを述べ、ミシェル夫人に話が及んだときだった。

「この25年、妻や母親であるだけでなく、親友でもあった。頼んでいないような役割も果たしてくれた。しかも、優雅さと気概と品性とユーモアを持って」

そっと涙をぬぐうオバマ氏。選挙ボランティアや若者たち聴衆に向けては、こんなメッセージを送った。

「あなたたちは世界を変えてくれた。そうだとも。だからこそ、われわれが取り掛かったときよりも、我が国に対して楽観的な思いを抱いて、今夜この舞台を去れる」
「多くのアメリカ国民を助けただけではない。特に若者たちを始め、多くのアメリカ国民を鼓舞し、違いを残せると希望を持たせ、大志を抱かせた」

「自己の利益を顧みず、利他的で、クリエイティブで、愛国的な若い世代。国のあちこちで目にしてきた。あなたたちは、公正で、正しく、包摂的なアメリカを信じている。変化し続けることがアメリカの証であると知っている」

「こうした民主主義の困難な仕事に携わりつづける意志を持っている。その数は増え続け、だからこそ、将来は善き人々の手にあると信じるのだ」

「イエス・ウィー・キャン」

演説の締めくくり。オバマ氏は「大統領として最後の頼み」を訴えた。

「8年前、私に賭けてみてくれたときに、お願いしたことと同じだ。信じてほしい。私が変化を起こす能力ではない。あなたたち自身のだ」

「建国の文章に記された信念を守り続けてほしい。奴隷たちや奴隷制廃止論者たちがささやいた思想。移民や入植者や正義のために行進した者たちが唄った精神。海外の戦場から月面まで、国旗を立てた者たちによって再確認された信条。これからストーリーが記されるであろう全てのアメリカ国民のコアにある信条」

そうだとも、我々にはできる。イエス・ウィー・キャン(Yes, we can.)
そうだとも、我々はそうしてきた。イエス・ウィー・ディッド(Yes, we did.)
イエス・ウィー・キャン(Yes, we can.)

「イエス・ウィー・キャン」 オバマ大統領の最後の演説

BuzzFeed Japan 1/11(水) 18:32

 

 

終りまでお読み頂き、ありがとうございました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

巳蛙
2017年01月14日 23:24
311原子炉唯一の冷却手段が失われ
試験の範囲外講義
最悪の選択を強行し続けた管海江田西沢斑目吉田らに

オバマさんも原発動作原理は結局理解してなかったようなコメント

チェルノブイリ事故再来RBMK千似の三倍
放射線データ消却の公明党担当大臣に嫌気もしない退任演説

この記事へのトラックバック